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次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。 南都に智 ち運 うん房 ばうといふ寺 じ僧 そうありけり。あまりにぶつそうなりければ、ひたさわぎの智運房とぞ人申しける。ある時に、向 むかひの僧 そう坊 ばうに焼失ありけるに、さわぎいでて、手 てう水 づ桶 をけの水をささげて、かたはらなる法師の首にかけければ、﹁これはいかに。﹂と言へば、﹁御 ご坊 ばうの顔に火のつきたると思ひて。﹂とぞ言ひける。火の光、顔にうつりて見えけるを、火のつきたると思ひけるにこそ。ある時に、若きものども寄り合ひて、酒 しゆ宴 えんしけるに、続 つぎ瓶 へい子 じせむとて、瓶子を持ちて酒屋へ行きて、程 ほどもな *
1
*2
*3
*4
①
②
* ③ 5
く帰りたり。人々興に入りて、瓶子なる酒をひさげに入れてみれば、浮 うき草 ぐさあり。あやしと思ひて飲みてみれば水なりけり。﹁これはいかに
、
一 いつ向 こうに水にてあるは。﹂と問へば、﹁よも候 さうらはじ。やがて汲 くみて候ひつれば。﹂と言ふ。﹁とはいかにといふことぞ。﹂と問へば、﹁月は朧 おぼろなり。雨に道すべりて、猿 さる沢 さわの池のはたにてすべりて、瓶子を池にうちこぼしつるを、やがて時を移さず、底を汲みたりつる。﹂とぞ言ひける。かへすがへすもふしぎにこそおぼゆれ。口はさわがしきのみにあらず
。
物の心もわきまへざるにこそ。 *
6
④
⑤
*7
⑥
⑦
*8 5
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古 文
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◇古文 古文は、昔使われていた言葉で書かれた作品である。古文にはさまざまなきまりや特 とく徴 ちょうがあるので、それらをしっかりと把 は握 あくしたうえで、読み味わうようにする。 古文の読解のポイントは、以下のようなことがらである。◦特徴①歴史的仮 か名 なづかいア 語頭以外のハ行の音は﹁わ・い・う・え・お﹂と発音する。イ ﹁くわ﹂﹁ぐわ﹂は﹁か﹂﹁が﹂、﹁ゐ﹂﹁ゑ﹂﹁を﹂は﹁い﹂﹁え﹂﹁お﹂と発音する。ウ ﹁ぢ﹂﹁づ﹂は﹁じ﹂﹁ず﹂と発音する。②言葉の省略 古文には省略が多い。主語・述語・助詞はよく省略されるので、現代語に訳すときは、それらを補う。 ③古語 古語には、現在では使われていない言葉や、現代語と形は似ているが意味の違 ちがう言葉があるので、注意する必要がある。④敬語 古文では敬語が多用される。尊敬語・謙 けん譲 じょう語・丁 てい寧 ねい語を
し
っかりと区別し、そこから人物の身分関係をとらえる。◦きまり①係り結び ﹁ぞ・なむ・や・か・こそ﹂︵係助詞︶が文中にある場合、文末は次のように結ぶ。﹁ぞ・なむ・や・か﹂連体形﹁こそ﹂ 已 い然 ぜん形②副詞の呼応 副詞の﹁な﹂﹁え﹂があると、あとに﹁そ﹂︵助詞
︶、
﹁ず﹂︵助動詞︶がきてそれぞれ対応し、﹁な∼そ﹂で﹁∼するな﹂、﹁え∼ず﹂で﹁∼できない﹂の意を表す。
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︵無 む住 じゅう﹃沙 しゃ石 せき集 しゅう﹄︶*1南都=奈 な良 らの興 こう福 ふく寺。*2ぶつそうなりければ=もの騒 さわがしかったので。*3焼失=火事で焼け失 うせること。*4手水桶=手などを洗う水を入れておく桶。*5続瓶子せむとて=さらに酒宴を続けようとして。瓶子は今のとっくりのようなもの。*6ひさげ=つるのついたなべのようなもの。酒などを温めるのに使う。*7一向に=まったく。*8物の心=物事の道理。
問一 線①﹁法師の首にかけければ﹂について、次の⑴・⑵に答えよ。⑴ だれが、何を、法師の首にかけたのか。
だれ 何
⑵ 法師の首にかけた理由を言っている部分を文中から書き抜 ぬけ。
問二 線②﹁これはいかに﹂、⑤﹁これはいかに、一向に水にてあるは﹂と言ったのは、それぞれだれか。文中から書き抜け。
② ⑤
問三 線③﹁思ひける﹂、⑥﹁問へば﹂を現代仮 か名 なづかいでそれぞれ書け。 ③ ⑥
問四 線④﹁あやしと思ひて﹂の意味として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア みすぼらしいと思ってイ 汚 きたならしいと思ってウ 不気味に思ってエ 不 ふ審 しんに思っ
て
問五 線⑦﹁よも候はじ。やがて汲みて候ひつれば。﹂の意味として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア まさかそんなことはありますまい。少したって汲み上げましたが。イ まさかそんなことはありますまい。すぐに汲み上げたのですから。ウ やはりそうですか。汲み上げますのにしばらくかかりましたので。エ やはりそうですか。すぐ扱み上げるには汲み上げたのですけれど。
問六 この文章からうかがえる﹁智運房﹂の人物像として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア あわてものだが、風流な人物イ 気が短く、ずるがしこい人物ウ そそっかしく、思 し慮 りょの浅い人物エ 気弱なくせに、口達者な人物 11 古文 1
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次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。 ︵昔、中国に三人の兄弟がいた。父母が死んだあと、三人いっしょに暮らしていた。︶ その家に紫 むらさきのうばらあり、四 しい時 じに花咲 さきて、おもしろきことかぎりなし。しかれば、世にまれなるものと言ひて、見る人みな、このうばらをほめずといふことなし。 しかるあひだ、いかなることかありけむ、この三人の兄弟、同じ心にあひ語りて言はく、﹁いざ、われら、この家を売りて、その値 あたひを三つに分けて、三人して分かち取りてここを去りなむ。﹂と言ひて、すなはち、家を売りて値をおのおの分かち取りて、去りなむとする日、このうばら、あくるあしたをもって、三つに分けて掘 ほり取りて去りなむとするに、その夜、たちまちにそのうばら失 うせぬ。あくるあしたに見るに、うばらなし。 そのときに、三人の兄弟、またあひ語りて言はく、﹁このうばら、人取らずしてすでに失せにたり。これ、われらがここを去るゆゑなり
。
しかれば、草木すら、なほ別 べつ離 りを惜 をしむなりけり。いかにいはんや人をや。 ﹂と言ひて、すなはち、値を返して、三人ともにもとのごとく居 ゐぬ。そのときに、うばら、また栄え生ずること、もとのごときなり。 しかれば、草木もみな、昔はかくのごとくぞありけるとなむ語り伝へたるとや。︵﹃今 こん昔 じゃく物語集﹄︶*1うばら=野ばら。*2四時=春夏秋冬。一年中。*3値=代金。*4すなはち=さっそく。 *
①1
*2
②
③
④
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*4
*5
⑤
⑥
⑦
*5あくるあした=あくる朝。
問一 線①﹁うばらあり﹂を現代語訳するとき、﹁うばら﹂と﹁あり﹂の間にどんな語を補えばよいか。
問二 線②﹁おもしろきこと﹂のここでの意味として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア 変であること イ きれいなことウ 愉 ゆ快 かいなこと エ 趣 おもむきがあるこ
と 問三 線③﹁世にまれなるもの﹂は何を指しているか。文中から書き抜 ぬけ。 問四 線④﹁いふ﹂を現代仮 か名 なづかいで書け。
問五 線⑤﹁その夜、たちまちにそのうばら失せぬ﹂とあるが
、
﹁うばら﹂が消え失せた理由として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア この野ばらは、世にもまれな花であると、人々に言われたから。イ 三人の兄弟が、住みなれた家を売り、その代金を互 たがいに分けあったから。ウ 三人の兄弟が、野ばらを三つに分けて掘り取って去ろうとしたから。エ 三人の兄弟が、もとのとおりいっしょに住むことになったから。
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問六 線⑥﹁しかれば、草木すら、なほ別離を惜しむなりけり。いかにいはんや人をや。﹂は﹁なるほど、草木でさえも、やはりたがいに別れを惜しむのだなあ。まして人間ではなおさらのことだよ。﹂という意味である。それを受けたにあてはまる文の内容として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア とはいえ、やはり私たちは別々に暮らそう。イ とはいえ、やはり私たちは野ばらを三つに分けよう。ウ だから、私たちもやはり草木を大切にしよう。エ だから、私たちもやはりここでいっしょに暮らそう。
問七 線⑦﹁なむ語り伝へたる﹂について、次の⑴・
。りようきまなを何というか がのこ、がだめたるあ﹂終止⑴ ﹁たる﹂がむ形でないのは、﹁な え答によ。⑵
⑵ ﹁たる﹂の活用形を答えよ。
や、 道を知ららん人ざかかり恐れなんば おそ てちまやあれしくぶはるあにべざし。りけりら乗、てと﹂ さま。りけせてへかき置を、鞍とたを、足のべて閾に蹴こあてぬれば、﹁ くらけ こ﹂りな馬るめさいはれ、﹁へらて閾を足はをゆりろとこゆるを見てそ きみし り、乗馬き双なは盛泰守奥陸りな馬けさ、にるけりせ城出き。ひ を さつじやうのむかのいみやもりうだす
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。で次の文章を読ん、よあとの問いに答え。
︵兼 けん好 こう法 ほう師 し﹃徒 つれ然 づれ草 ぐさ﹄︶*1閾=しきい。*2いさめる=気の荒 あらい。
①
*1
②
*2
③
問一 線①﹁そろへて﹂を現代仮 か名 なづかいで書け。
問二 線②﹁ゆらりとこゆる﹂の主語として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア 城陸奥守泰盛 イ 馬ウ 馬乗り エ
鞍
問三 線③﹁乗らざりけり﹂の現代語訳として最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア 乗ろうとした イ 乗らなかったウ 乗れなかった エ 乗せてもらえなかっ
た 問四 この文章からわかる泰盛の人 ひと柄 がらとして最も適当なものを次から選び、記号で答えよ。ア 自説をまげない人である。イ 決断力に乏 とぼしい人である。ウ 批判精神の強い人である。エ 物事に慎 しん重 ちょうな人である
。 問五 この文章で筆者が言おうとしていることと同じ趣 しゅ旨 しのことわざを次から一つ選び、記号で答えよ。ア 案ずるより産むが易 やすしイ 石橋をたたいて渡 わたるウ 禍 わざわいを転じて福となすエ 百聞は一見にしか
ず 問六 ﹃徒然草﹄が書かれた時代を次から選び、記号で答えよ。ア 奈 な良 ら時代 イ 平 へい安 あん時代ウ 鎌 かま倉 くら時代 エ 江 え戸 ど時
代